第一回目「海外産のサプリメントでデトックスを試みたら死にかけた話」
過去のエリコ新聞を載せたり、ブログなどの公開の場では書きにくい話、noteで記録しているカウンセリングの更新お知らせ、その他イベントの最新情報をお知らせします。
第一回目は「海外産のサプリメントでデトックスを試みたら死にかけた話」をお届けします。
先月、某美容イベントを聴きに行った。レーザーで顔が真っ赤になったけど、すごく綺麗になったとか、健康のためなら死んでもいいという人が紹介しているサプリなど、笑いながら聞いていた。
その中で、実際に自分でも試してみたいものがあった。
気になったものは「グレートプレインズベントナイト」「八重山クロレラ」「エプソムソルト」。
「グレートプレインズベントナイト」は「飲む泥」だそうで、体の中にある重金属、毒カビなどを吸着させて便にして出すという初めて聞くものだった。そんなやばいものが私たちの体にあるのだろうかという疑問を持ちながら、体験した人が「宿便が出る」というので、いつか買ってみよう、と心に留めておいた。
ちなみに、この二つをお勧めしいてるのが、高城剛さんというサプリメントオタクの方で、記事のタイトルは「健康のためなら死んでもいい」というパワーワードだった。
そんな情報を頭の隅に入れつつ、私は日常を送っていた。今年の春に健康診断で高血圧と判定され、降圧剤を飲み始め、メタボの認定を受け、日々筋トレ、食事制限、有酸素運動などしているが、全く効果が出ない。精神薬を飲み始めてから、薬の副作用で太り、副作用を止める薬で便秘になり、便秘薬を飲み、という悪循環を繰り返し、ひどい時は体重が70キロを超えたこともある。その時は、決死の覚悟でレコーディングダイエットを敢行し、一年で10キロを落としたことがあるが、まだ20代だから成功したのだろう。30歳を過ぎてからの体重は常に上り坂で体に合う洋服が少なくなってきた。
文学フリマに出店した時、ダイエットに成功した人の同人誌を読んだ。マルチビタミンというサプリを飲んだら劇的に痩せたという記述を見て「サプリ、やってみようかな」という気持ちになった。その人が飲んでいるサプリは高額と記載されていたので、私は「健康のためなら死んでもいい」人が勧めていた「グレートプレインズベントナイト」と「八重山クロレラ」をiHerbというサイトで探したが、八重山クロレラは品切れだったので、他の評価の良いクロレラを選びクリックした。二つで3千円くらいだった。
「グレープレインズベントナイト」の説明書きを読むと、理解できない言葉が多く並んでいる。
『大さじいっぱいで不要なものを捉える総面積は752平方メートル』
『磁石のように吸引し不要な物質を捉えて結合させる』
『金属製のスプーンを使うと効果が失われるので木製のスプーンをご使用ください』
不要なものを捉える力の大きさが異常だし、金属製のスプーンが使えないなど、常識をはるかに超えている。
そして、泥についての説明は、大昔の人間は野菜などと一緒に自然に泥を食べてデトックスしていたが、現代になり、泥を食べる機会が失われてしまい、科学的なものを取るようになってしまったので、体に毒素が溜まっているのだそうだ。
まあ、この手のものは調べるとキリがない。どんどん怪しいブログが出てくるし、レビューにも『肝硬変で死にかけた祖母の意識が戻った』など、神が起こした奇跡のようなものまである。正直「胡散臭いな」と思ったが、西洋医学が常識になっている側の社会に生きているから、そう感じるだけで、西洋医学が発展しない世界に生きていたら、泥を飲んで悪いものを出すのが病院でも推奨される世の中になっているかも知れない。それに、私のダイエットは限界を迎えてきている。もう1キロも落ちない。そして、肌の荒れはひどくなる一方で韓国から輸入したカタツムリクリームを塗って治そうとしているが、一進一退で完治しない。それなら泥だろうが、毒だろうが、飲んでやろう。
アメリカ製のキャップが柔らかすぎて壊れたのでガムテープで補強した。
そして、個人輸入して、早速朝の空腹時に飲んでみた。なんとなく体が軽い。3時間後、急に悲しくなり、涙が出てきた。これもデトックスだろうか。トイレに行くと結構良い感じだったので、毒が出ているのかも。そして、次の日も服用。また涙が出る。あと、トイレが近くなる。クレイデトックスをするときは水分をたくさん摂らなければいけないので、お茶を大量に飲んだ。しかし、便の方は出なくて、むしろ便秘になってきた。
そして三日目、急に鬱になって布団から起きられなくなった。もちろん、普段から給料が上がらない、将来の不安など不安をたくさん抱えていて、鬱になることがあるが、なんか今日は変だ。また泣き出してしまい、ほとんど一日中寝ていた。夕方ごろ本を読んだり、スコーンを焼いたりして少し回復。しかし、便秘のまま。
四日目は仕事に行くことができたが、いつもの3倍くらいトイレに行っていた。便秘がひどくて、苦しい。しかし、不思議なことに体重は増えていない。むしろ減っていて、夜に食べても次の日、ほとんど体重が増えないという謎の効果が出ていた。
五日目、診察のためお休み。今の医師とはオンラインで診療をしている。今飲んでいるサプリについて聞いてみたが、医師も初めて見たものでよく分からないそうだ。調子が悪ければ量を減らしてみてはどうかと言われた。
診察が終わってから、前から行きたかった流山おおたかの森にある関東最大級のスパ銭に行く。サウナに入ると、いつもの何倍も汗が出る。説明書きに「尿がたくさん出る、発汗作用がある、オナラが臭くなる」などの好転反応というものが書かれていたので、大量の汗もこれかもしれない。しかし、なんだかふらつく。そもそも、精神科で処方されている薬を飲んでいるのに、大丈夫なのだろうか。鉄のスプーンを使ってはいけないくらいのものを飲んでも平気なのか。そんなに毒素を吸い出すなら、私の体の中にある抗うつ剤は全て排出されてもおかしくない。そもそも、降圧剤は大丈夫なのか。
なんとなく手足が冷えて、家に帰ってから、「ベントナイトデトックス 処方薬」「ベントナイトデトックス 便秘」などといった単語を入れて調べていると、とある個人ブログがヒットした。それを読むと、処方薬を飲んでいる人は飲んではいけない。高血圧の人もだめ。腸閉塞をやった人もだめ、とあった。
処方薬については、私が考えていたのと同じで、薬の成分を全て体の外に排出してしまうからだそうだ。高血圧はなぜだか分からないけど、私の場合、降圧剤を飲んでいるから薬の効果も無くなってしまうだろう。あと、便秘なのは、腸壁の内側についた毒素が剥がれ落ちて固まってしまうそうだ。
そもそも、日本で認可されているものではないし、専門家や医療関係者の言葉も見つからないので、どれを信じれば良いのか分からず、とりあえず自分の体に聞いてみるべきだと、血圧計を腕に巻いた。
最高血圧は150。下は100。「ヒィ」という小さい声が喉の奥から出た。死ぬかもしれないと不安になりながら夜勤のタケにラインを送ってから寝た。
次の日から飲むのをやめることにしたのだが、実は肌の調子が最高に良くなってきて、ずっとあった赤いニキビが薄くなり、正直「もっと飲んでデトックスしたい」という気持ちがあった。それに、食べても太らないのだ。最初に読んだ健康オタクの記事のタイトルじゃないが「美しくなれるなら死んでもいい」というステージに突入していた。しかし、私は常識的な人間なので、飲むのをキッパリとやめた。
夕方、便を出すためにいちじく浣腸を使うことにした。(ひどい便秘の時、たまに使う)すると、なんか泥のようなものドドドと出た。これが噂に聞く宿便だろうか。その後はひどく疲れてしまい、布団に横になっていた。
彼氏のタケに話したら「劇薬だったんだね」と言われた。確かにレビューでも「毒で毒を制す」ということが書かれていた。しかし、苦労の結果、体重は1キロ落ちたので、最高にハッピーである。正直、処方薬を飲んでいなくて、高血圧じゃなかったら、飲み続けたい気持ちがある。ぶっちゃっけ、今の状態でも今後、一ヶ月に一回くらい、飲んでも良いかなと考えている。しかし、血圧が150まで上がったあの夜、本当に死ぬかもと覚悟したし、どうせ死ぬならもうちょっとマトモな死に方じゃないと同情してもらえないので、泥はほどほどにしておこう。
最近読んだ本
「塩を食う女たち」藤本和子
「ブルースだってただの唄」藤本和子
黒人女性たちから聞き書きした本。黒人の中でも女性の方が生きづらいと知ることができた。
「美少女戦士セーラームーン」竹内直子
アニメは見ていたが、原作を読むのは初めて。原作の方が深みがあって好き。まだ途中までですが。
「いつもポケットにショパン」くらもちふさこ
読んだ本や漫画の内容をすぐに忘れてしまうタイプで、くらもちふさこの作品もあまり記憶になく、展示に行った時に買ってきた。面白すぎて打ち震えた。10歳の少年少女の瑞々しさ。
小林エリコ個展(8月10日〜14日まで)*12日はお休み
会期:2022年8月10日〜14日まで(12日のみお休み)計4日
時間:12時から19時まで(10日のみ14時から)
作者在廊日:10日(水)13日(土)14日(日)
会場:ギャラリーharu
杉並区高円寺南3-42-14 フラワーコーポ103
(JR中央線・総武線高円寺駅下車、徒歩8分 ※中央線は土日は止まりません)
(メトロ丸ノ内線 新高円寺駅下車 徒歩12分)
絵の展示の宣伝のためにメルマガを始めたと言っても過言ではない。今回の展示、たくさんの人に来てほしい。そして、絵を描き続けるための画材代と次回のギャラリーレンタル代くらいは絵が売れてほしい。絵はすごく大きいので迫力あると思います。
近況
単著ではないですが、秋くらいに寄稿した本が発売されます。情報解禁までしばらくお待ちください。メルマガが面白かったらSNSで拡散してもらえるとものすごく嬉しいです。
オンラインショップ
「タケ漫画」絶賛発売中!
小林エリコの著作をよろしくお願いいたします。(アマゾンへの短縮URL)
デビュー作『この地獄を生きるのだ』(イースト・プレス2017)
『生きながら十代に葬られ』(イースト・プレス2019)
『わたしはなにも悪くない』(晶文社2019)
『家族、捨ててもいいですか?』(大和書房2020)
『私がフェミニズムを知らなかった頃』(晶文社2021)
『私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに』(幻冬舎2021)
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